新規サービスの立ち上げ方について考える

10年ほど前、私の人生を大きく変えてくれた本があります。

「Little Bets」

今も私の人生の指針となっています。

実に単純明快。

「事業やサービスを立ち上げようと思ったら小さく始めなさい。そして、たくさん勝負しなさい。」

事業というのは自分の全人生をかけてやるもんだ、なんて鼻息荒く生きてきた私が、結構大きなお金をつかって始めたサービスが大コケして、途方に暮れていたときに救ってくれた本です。
以降、事業やサービスを始めるときには、常にこの本に書かれていることを指針にしています。

私の、事業やサービスを始めるときの4大指針はこちらです。

  1. 小さく始める
  2. KPIを設定し、KPI達成/未達成時の次のアクションを宣言する
  3. 自分が好きな、自分だったら利用すると思える、あるいは実際に自分が利用するサービスにする
  4. いちいちめげない

1.小さく始める

何かのサービスを立ち上げようとするとき、すべてのことが準備万端整うことなんてほとんどありません。
にもかかわらず、準備万端にしてからサービスを始めようとするタイプの人がいます。
こういうタイプの人は、いつまでたってもサービスを立ち上げることができず、ようやく立ち上げられたかと思ったらすでに他社が先行してもう追いつけないくらい差がついてしまっていた、なんてことになります。

  • 徹底的に数日間は考える。
  • 考えて、もっともレギュラーな事業スキーム(販売フロー、価格、実務)を構築する。
  • その数日間で思いつかないスキームについては、考えるのはやめて、早々にサービス立ち上げをしてしまう。
  • 想定外のシナリオが発生したら、その時困ればよろしい。なんなら想定内のシナリオだって、その時に初めて困るで良いんじゃないか。(無駄な取らぬ狸はやらない)

とにかく「始めること」が最も大切なことだと思います。

2.KPIを設定し、KPI達成/未達成時の次のアクションを宣言する

「KPI」最近ではあたりまえの経営用語になりましたが、案外自分ではやらない人を見かけたりします。
しかし、これをやらないのであれば、事業を立ち上げる権利はないと思います。
始めるまでは真剣なのに始まったら飽きてしまう人や、都合が悪くなるとこっそりフェードアウトしたりする人、ダメですよー。
事業を始める人はその事業の最後まで面倒を見る責任を持たなければいけません。
ただ、だからといって当初の予定よりも見込みが低ければ、バサリと切る覚悟も持っていなければいけない。

それの根拠が、KPIです。
「立ち上げ3ヶ月で会員登録1000人」、「立ち上げ1ヶ月で問い合わせ3件」、「立ち上げ3ヶ月で単月売上100万円」etc
期限を設定し、それまでに具体的に何を達成するかを数字で示す。
それが達成できなければ、
「サービス終了」、「広告宣伝費ゼロ」、「ヘルプスタッフゼロ」etc
をします、と宣言してサービスを始めなければなりません。

3.自分が好きな、自分だったら利用すると思える、あるいは実際に自分が利用するサービスにする

以前、海外での自動翻訳サービスの立ち上げの依頼を受けたことがあります。
「海外旅行が好きな人向けのサービス」ということだったのですが、かくいう私が海外旅行大好きなので、その私がこのサービスを使うことは絶対にない、と思って、ご依頼をお断りしたことがあります。
自分自身の思い入れや、実際に自分なら使う、というものをサービスにすべきで、そうでないものはやっても成功しないと思います。
困難に直面したときに燃えないし、ユーザー心理が想像できなかったり、シナリオが描けなかったり、ビジネスモデルに矛盾が出てきたり等々、途中でつまずく可能性が高いです。

4.いちいちめげない

失敗から学ぶ。
次に活かす。

あたりまえのことです。

 
ということで、これから新規サービス立ち上げを考えている方、もしいたらぜひ参考にしてみてください。

週一の1対1ミーティングがチームに起こす変化

私はマネージャーとしてチームのメンバーと週に一回、1対1のミーティングをおこなっています。
毎週決まった曜日決まった時刻、というのではなく、なんとなく私とそのメンバーが空いたときにサクッと声をかけて、10~20分程度おこなうような軽いものです。

なぜやっているかはこちらの記事に書いています。
クリエイティブ部門の人事評価、賞与査定について(評価式)

簡単に説明すると、マネージャーが主観でチームメンバーの人事評価をする以上、マネージャーとメンバーとの間で頻繁なメッセージの受け渡しが必要で、それをおこなうことで評価者の評価に被評価者が納得できる状態にしたいからです。
 
 
そういうわけで週一の1対1ミーティングをおこなっているわけですが、実際に半年以上続けてみてチームに目立った変化が起き始めています。

ひとつめは、チームのメンバーの変化。
会社が何を求めているのかをメンバーそれぞれが自覚してきたこと。
会社が求めていることを達成できれば即座に(月一で)評価に反映して見せるし、もっと注意して取り組まなければいけなかったことを怠ればそれも即座に評価に反映して見せることで、マネージャーからのメッセージがストレートにメンバーに伝わるようになったのです。「評価」という結論をズバリ提示するので、怒る必要もなくなる、という副産物もあります。

ふたつめは、マネージャーである私の側の変化です。
会話の中身の自由。
マネージャーにとって月一でメンバーの評価をするのは多少しんどい面があります。こまめにメンバーの仕事っぷりを見て、それの良し悪しを合理的な理由に基づき評価に落とす、という作業を常にやらなければいけないからです。しかし、そこにはしんどさを上回るメリットがありました。毎度毎度合理的な理由付けをしてミーティングでそれをメッセージとして伝えるようになってから、日常の会話には「評価」に関係するメッセージが一切必要なくなり、その結果、メンバーとの会話には「自由」が生まれたのです。
これは大きなことなのかもしれません。
 
 
チーム全体の生産性という面においてコミュニケーションがいかに大事かは誰しもが理解していることだろうと思います。
そのコミュニケーションが相互に警戒しあうことなく自由にできることは、すなわちチームの生産性向上につながると思うのです。

マネージャーはメンバーを委縮させてはいけない

数名あるいは数十名をまとめる立場をマネージャーと呼びます。
マネージャーの力量でそのチームのパフォーマンスが大きく変わります。
そのため、マネージャーには広い業務知識や高い業務遂行能力、それから統率力が求められます。
必然的に発言する場面が増え、発言する内容も重くなります。仮に自身は軽い言葉のつもりで発しても相手には重く伝わってしまうこともあるという、マネージャーとはそういう立場でもあります。
マネージャーの発する言葉は最初から一定量の「強さ」を持っています。そこにさらにマネージャー自ら「強さ」を込めてしまうと、相手を圧倒してつぶしてしまうこともあるのです。

マネージャーは会社の求める数字やパフォーマンスを達成するために普段からメンバーに多くの要求をします。
メンバーもマネージャーの要求にこたえようと頑張ります。
このヒエラルキーは確かに必要です。
しかし、度を越えた強いマネージャーはメンバーを委縮させ、思考停止に陥らせる危険があります。メンバーから自発的に考えようとするやる気を奪います。

マネージャーのみなさん、最近チームでミーティングしても議論になりにくくなってきたな、沈黙が多くなってきたなと思ったら、一度自分の発言の「強さ」を少し考えてみましょう。以前なら反応があったような内容の発言に反応がなくなってきたら要注意です。

言葉の選択で強い言葉を選びすぎていませんか?
声量が大きくなりすぎていませんか?
早口でまくし立てるようなしゃべり方になっていませんか?
相手を委縮させていませんか?

そう感じたら、明日から、少し気を抜いて、楽な気持ちで、多くを求めず、チームのメンバーと向き合ってみましょう。
2週間くらい、そのことをいつも頭の片隅に置いてチームマネジメントをしましょう。
 
マネージャーはメンバーを委縮させてはいけません。
チームのメンバーが自分自身に自信をもって、堂々とした態度で、活き活きと仕事に打ち込める場所を作ることが、マネージャーの仕事です。

クリエイティブ部門の人事評価、賞与査定の改善

以前、クリエイティブ部門の人事評価、賞与査定について(評価式)にてクリエイティブ部門の評価について書きましたが、今回はこの評価を運用していく中で出てきた課題や違和感について、およびそれらを盛り込んだ改善について書いてみます。
 
これにそのとき示した評価の項目です。再掲しておきます。
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■評価項目
会社貢献出力:会社として取り組む業務に関する出力、自分以外のメンバーへのヘルプ量
個人出力量:当人のこなした業務の絶対量
個人出力付加価値:出力がどれだけの経済的付加価値を持つか(品質、課題解決、改善、創造、売上貢献、納期)
伝達力・推進力:自身の行動や会話、文字によって、他者や会社全体に対してもたらした貢献(スピード、モチベーション、クオリティ、売上)
====

以上4項目なのですが、運用した中で感じた課題や違和感は次のようなものです。

  • 「個人出力付加価値」と「会社貢献出力」、「個人出力量」の意味合いが重なる部分があり、どの評価に入れたらいいか迷う
  • 「個人出力量」は、リモートワークを認めている関係でマネージャーが正しく公平に把握することが困難
  • 「会社貢献出力」は、実際は職種に応じて一部のメンバーにだけ求めているものであり、多くのメンバーにはそれほど求めていない
  • 個人の出力に注目しすぎたきらいがあったため、プロジェクトのチームの一員として協力してプロジェクトのゴールに向かわなければならない場面で、多少の自己犠牲要素を受け容れることを拒否し、自分には関係ないからといった理由で非協力的な行動がちらほらと見られた

そこで次の2点での評価に変更することにしました。

  • 個人成果物付加価値:出力した成果物がどれだけの経済的付加価値を持つか(品質、課題解決、改善、新規性、売上貢献、個人納期)
  • コミュニケーション:案件ごとに、当該案件担当の他メンバーと協力して、どれだけ良いものを迅速につくることに貢献できたか(情報流通、案件推進努力、意見相違の調整努力、納品期間)

360度評価なんて言葉がありますが、「コミュニケーション」評価はまさにそれにあたります。

「メンバー間でお互いに主張し、妥協点を見つけながら、協力してプロジェクトが進められ、結果、達成すべきゴールに到達できたかどうか」

マネージャーとしては結構大変ですが、情報のキャッチアップは、プロジェクト終了後、マネージャーのほうでチームのメンバーそれぞれからそれとなくヒアリングして、個々の評価に組み込んでいく方法しかありません。それをしなければ正しい評価はできませんからね。

仕事というのは、ひとりではできないのだなあとしみじみと反省しつつ、改善をおこなった話です。

上司との戦い方

仕事をしていると当然ですが人と衝突します。利害の衝突、信念の衝突、方法論の衝突、ただの感情的な衝突、・・・。

時にはその相手が上司になることもあります。
というか、戦う相手は割と上司のことが多いんじゃないでしょうか。

さて、相手が誰であろうが、勝ちたい。そうですよね?
損して得とれの場面は想定しないでください。
たとえば、これをやらなければ将来会社が良い方向に行くはずがない、と思った事に対して消極的な対応をされたときの戦い。
おひとよしでは済まない場面。その相手は上司。
 
どうやって戦いますか?力では勝てない相手に対して。

私はいつもこうします。
 
「できるだけたくさんの人間の聞こえる場所で相手と議論する」
 
自分が正しいと思っているなら、味方も多いはずです。
議論しながら味方を増やしていってください。
仮にそこで勝ち取れなくても、周りは見ています。
きっと次は味方が増えているはずです。
案を蹴った上司はバツが悪いはずです。
 
そうやって、自分の意見は堂々とたくさんの人が聞いている場所で話すことが大事だと思います。
 
昨今ではチャットで話す、なんてこともあると思います。
そのときは、わざと本来の関係者集団より一回り大きい関係者集団のグループチャットでその相手と対峙することをお奨めします。
○○課の問題なら○○課の全体チャットでやらず、○○課を統括する○○部の全体チャットでやるんです。
課長との1対1チャットで話している方、いますか?
おすすめしません。相手との権力差が大きい場合は正論も相手の土俵の中で消化されます。
うまく消化されなかったときは、何もなかったことになってしまいます。
かならず誰かがいるところで議論すべきです。

「できるだけたくさんの人間の聞こえる場所で相手と議論する」

この原理原則はどういうシチュエーションでも同じです。

営業目標数字達成率の現地点期待値を管理する

6月時点の半期目標売上達成率はどれくらいになりそうですか?
確定した分だけじゃなくて、見込みを入れて。

と、上司から聞かれたチームのマネージャーのみなさんはどのように回答されていますか?
営業管理ツールを入れている会社もあれば、いまだに紙で管理されている会社もあるでしょう。そもそも営業数字の管理自体やっていないなんて会社もあるのではないでしょうか。

答えられなければいけません。
経営サイドとしては常に半年後1年後を見据えて事業計画を立てなければならないのに、半年後どのくらいの売上が見込めるのか見当もつかないでは、チームのマネージャーとしてお話になりません。
確定数字分だけ言ったって、それじゃあ、先のことまったく見えてないんかい!ということになりますし、
かといって、営業マンひとりひとりの出した見積金額の総額を出したところで、その中のどれだけの案件が受注できるのか分からない以上、希望的観測が盛り込まれた夢の数字になるに違いありません。

そこでひとつの指標を取り入れてみましょう。

「確度」

その案件がどのくらいの確率で受注できるか?という指標。
「確度」を営業マン個人の体感でかまわないので案件ごとに登録してもらう。
そもそも体感なので細かい数字はナンセンスです。たとえば20%,50%,80%,100%の4種程度でいいのではないかと思います。

たとえばこのような感じです。

見積金額 確度 期待値
200万 50% 100万
80万 80% 64万
100万 100% 100万

要するに見積金額にその案件の確度を掛けて期待値を出し、その期待値を管理するという方法です。
上の表で言えば、
見積総額は380万円、
現時点確定は100万円です。

期待値は264万円です。

みなさんはどれで管理しますか?
私はチームの運営状況を「期待値」で管理しています。
それがもっとも確からしい。

見込みがテキトーでもダメ、慎重すぎてまったく先読みがないのもマネージャーとして“いる”意味がありません。
マネージャーなら確からしい未来の数字を常に持ち、都度ダイナミックに1カ月後3か月後の個々の営業マンのミッションを、根拠を持って指示していきたいものです。

マネジメントから見るリモートワーク、在宅勤務について

マネジメントから見ると、リモートワークや在宅勤務を認める組織は非常にコントロールしづらい組織であるといえます。
なにしろメンバーが今何をやっているのかまったく見えません。
組織のメンバーから見れば、さぼろうと思えばいくらでもさぼることができる環境なのです。

それでもリモートワークや在宅勤務を認める会社が増えていることには理由があります。

  • リモートワークや在宅勤務は多様な働き方に対応するのに便利であること。
    たとえば、子持ち、特に1歳~2歳くらいの幼児がいる、あるいは介護している親がいる、といったどうしても家にいなければならない理由がある社員にも働いてもらえるようにするのに便利です。
  • 通勤時間の無駄がなくなる。
    東京ですと電車通勤の人がほとんどだと思いますが、電車の中でそれも朝夕のラッシュ時に本や新聞、ニュースから情報を得るのはとても大変ですね。
    なくてすむならないほうがいいのが通勤時間です。
  • パフォーマンスが上がる。
    優秀であればあるほど、自由を与えられるとパフォーマンスが上がると言います。
    だから、許可制を敷く会社もありますね。その人の成績に応じて在宅勤務を〇日認める、みたいな。
    それが、もっとも正攻法だと思います。
    自己管理ができない人間を自由にすると何もしなくなるケースもあって、そのあたりのフィルターは必要でしょう。

 
それでは私がマネジメントする組織でリモートワークや在宅勤務を実際に運用して約4年、効果のほどはどうだったかといいますと。
正直、長短あります。
なんかチームなのに1+1=3になりにくい。相乗効果皆無。
なんとなくわかってやってたところはありますが、1+1=2 です。
アイデアにしろ業務効率にしろ、化学反応は起こりにくい。起こすには従業員を巻き込む「ムードメイク」をしなければならないです。
人の迷惑顧みず、明るくつねに挑戦的で、強引にでも物事を進めようとする腕力のある人物が、人数を集めてアイデアを昇華させるための“場所”を用意する必要があります。

これについては、努力が必要です。
音頭をとる人間がマネジメントじゃなくてもいいのですが、そういうムードメーカーを社内で捕まえ、マネージャーがバックアップしてそういう“場”を意図的に作り上げる努力。
1+1=3の場が自然発生的には現れ得ないのがリモートワーク集団の本質なのかもしれません。
 
と、ここまで書くと、なんだ大した成果はなかったのか?と思われるかと思いますが、それを飲み込んで余りある大きなメリットがあります。

  • 採用コストが下がる

これは今のところ私の体感として確信を持って言えます。

良きにつけ悪しきにつけ、人との接点が減るという事は人間関係における緊張状態が緩慢になるということは言えそうです。
つまり、毎日出社して席の隣にいつも誰かがいる環境と比べて何をやるにしてもコミュニケーションコストがかかる代わりに、人間関係における衝突や摩擦の絶対量が減ります。
 
人が転職をする理由の第2位か第3位が「人間関係」です。
リモートワーク、在宅勤務を認めると、定職率は相当上がります。

結論として、経営を安定的に運営するために「リモートワーク、在宅勤務」は良い制度だと思います。
 
 
さて、もう一歩思考を進めて、未来の会社の働き方というものを考えると、時と場合によって、リモートワークをやったりやらなかったりを柔軟におこなう会社というのが最終的には求められる組織像であるような気がします。
リモートワークは確かに優れた制度だと思いますが、会社がなにかブレイクスルーしようとするときには、リモートワーク一辺倒では強い組織にはなりえないでしょう。
ブレイクスルーを成し遂げる現場にはとてつもない量の会話があります。
生まれるはずのなかったサービスが会話によって生まれ、会話によって昇華し、会話によってとてつもないスピード感を生んで、いとも簡単に作り上げられたりします。

人事評価におけるアイデアの金銭的価値

前回、組織のマネジメントとして、あらゆるアイデアを評価する必要性とアイデアを評価に入れるときの評価式についてお話ししました。

今日は、具体的に「アイデアの金銭的価値」について考えてみたいと思います。

この世にある優れたサービス、商品はすべて、最初は一個人の一アイデアに過ぎませんでした。
それを発案者なりその近しい協力者がビジネスモデルにして、ヒト・モノ・カネを調達して、マーケティングをして、運用して、ようやく今の成功があります。
そこまでの過程でほとんどのアイデアは挫折し、生き残るアイデアなんてほんのひと握りに過ぎないんですね。

一方で、今ある業務について実際に日々体験している人間から発露するその改善策というのもやはり「アイデア」です。
その他、契約書など書類の文章一つとっても改善アイデアは存在します。

さて、ここで考えるべきは評価としての「アイデア」について。
もしかしたら大化けするかもしれないけれどほとんどその可能性はゼロの「一個人の一アイデア」や、今すぐ実施すれば確実に改善するような「アイデア」、ほんとにこんなやりかたでうまくいくのかちょっと不安だけどやってみたらしっくりくるかもしれないチーム運用の「アイデア」、その他もろもろ「アイデア」といってもたくさんの種類がありますね。
ここで問題です。
そのアイデアって、金銭的にいくらの価値を持つんでしょう?

私の場合、これを金銭的価値に落とせなければ売上と並べての評価ができない評価式を作りましたから、なんとか金銭的価値を持たせないといけません。

そこでアイデアを3種類に分けることにします。

  • ビジネスモデル、企画
  • 商品改善
  • 業務改善、運用改善

そしてこれらのアイデアカテゴリそれぞれに、却下/チャレンジ/失敗/成功/大成功 という結果ステータスをつけ、それぞれの結果ステータスに金額を付与します。

改善提案評価表(単位:千円)

却下 チャレンジ 失敗 成功 大成功
ビジネスモデル、企画 0 60 60 300 600
商品改善 0 60 60 180 300
業務改善、運用改善 0 60 60 150 200

(却下:改善提案を会社として取り組んでみる、とならなかったアイデアは却下します)

この表に基づいて、メンバーから上がってくる改善、アイデアを一つ一つ評価し、それを 改善提案/0.6 して評価式に加えれば、完成です。
もちろん、金額については私のエイヤー!な部分もあります。
したがって、これを公表しメンバーの前で真剣に説明することが最も大事なアクションです。
評価される側も人間なら評価する側も人間です。
値に誤差や誤り、思い込みがあっても良いのだと思います。
全員から納得を得ようとする行為と事実としての納得、そして常にこの評価式に基づいて淡々と評価をおこなうことこそが「公平な」評価だと思うのです。

評価式については「営業部門の人事評価、賞与査定について」を参照ください。

どんどんアイデアを出して、改善して、会社を何段階も上のところに持っていきたいですね。

あらゆるアイデアを評価する

前回は日々の目立たないルーチンワークもしっかり評価しましょう、というお話をしましたが、今回は、改善や企画、クリエイティブなどのアイデアについてもしっかり評価しなければならない、というお話をします。

企業の本質とはまさにアイデアを源泉にした創造活動であり、そして、一部の普遍的、原理的なアイデア(原理科学技術や「資本主義」「法律」などといった普遍的価値を持つアイデア)を除いて、ほどんどの企業のアイデアは時間の経過に影響を受け、時間がたてば腐るものです。

だから企業人であるならアイデアを生むだけでなく、日々アイデアのメンテナンス、アイデアの足し引きをしなければなりません。
たとえば

  • 業務の改善
  • ビジネスモデルの企画、創造、改善
  • 組織体制の改善
  • ・・・

といったたぐいのものです。

結構考えていてもすぐに出てこなさそうなものばかりですね。
マネジメントはこれを毎日考えています。でも毎日必ず何かのアウトプットがあるかというとそんなことはありません。
悩んで、悩んだだけで一日終わり、なんてことはしばしば起こります。

この、結果が見えにくい知的活動はその効果や影響が多岐に長期にわたる可能性もあり、その場で経営的影響を算出することは極めて困難です。
そのため「各個人のアイデアを聞かない、聞いたふりだけして乗らない」という姿勢は、無抵抗な状態の電流かの如く至極簡単に「アイデアを出す必要はない」という短絡的なメッセージとなって組織のメンバーに伝わってしまいます。
こうなってしまっては企業の持続的な成長にとって大きなマイナスです。

だからマネジメントは、この結果が見えにくい活動に必ず評価を付与させなければいけないのです。

では、どのように評価を付与したらいいのでしょうか。

営業部門の人事評価、賞与査定についてで評価式を公開しましたが、その中に「改善提案」という項目があります。

日々の目立たないルーチンワークもしっかり評価するで、ルーチンワークの評価を売上換算して、売上など金額と並べて評価していることを説明しましたが、「改善提案」も同様に売上換算すれば売上評価と並べても矛盾は発生しません。

評価式にある
改善提案/0.6
がそれにあたります。
金銭的価値を主力商品の粗利率で割って売上換算しています。

次の記事では、改善提案の金銭的価値について説明したいと思います。

関連記事:
人事評価におけるアイデアの金銭的価値

日々の目立たないルーチンワークもしっかり評価する

働いていれば、誰がやったって同じ程度の質量のアウトプットしか出せないような、単純で目立たないルーチンワークというものが日々少なからず存在します。

たとえば営業なら、自社サイトに納品実績として載せさせてもらえるようクライアントの許可を得る働きかけだったり、実際に実績として写真撮影やインタビューなどを取る実務だったり、協力会社の開拓や情報交換、ときには慰労だったり、いろいろあります。
しかしながらそれに対するモチベーションは、というと、営業の数字に比べれば相当低く、人によってはほったらかし、他人任せにして屁とも思わない、なんてことになります。
それも当然で、数字は評価に直結するけど、目立たないルーチンワークは評価されにくいからです。

では、そのルーチンワークというのは会社にとって評価しても意味のないものなのでしょうか?
答えはノーですね。それがなければ持続的な企業の成長はありえない。
であれば、そのルーチンワークにも営業数字と同等の評価をつけ、チームのメンバーにその目立たない実務を積極的にやってもらえるようにするべきなのです。

以前の記事で
営業部門の人事評価、賞与査定について
お話しましたが、その評価式の中で
「ライフワーク」
という項目があります。

あのような形で営業の売上数字などと並べてルーチンワーク=ライフワークについても評価をおこなうことで、ルーチンワークにもモチベーションを持って取り組む組織にすることができるでしょう。

では、その評価の具体的な数値化について、お話しします。
あの評価式では、売上など金額と並べてルーチンワークを評価しています。
そのためルーチンワークの評価は売上金額に換算することで他の項目との整合性を取っている形です。
売上への換算の仕方ですが、シンプルにそのルーチンワークを外注したらいくらになるか、を考え、その外注費を捻出するにはどれだけ売上を上げれば良いのかを計算すればでます。

評価式にある
ライフワーク/0.6
がまさにそれです。
ライフワークを外注したらかかる費用を営業商材の粗利率で割っているわけです。

たとえば、粗利率60%の営業商材が主力の会社で、
外注したら6万円かかるライフワーク(ルーチンワーク)の売上価値は、
6万/0.6=10万
10万円の売上価値と同じ、ということです。

このように日々の目立たないルーチンワークもしっかり評価して、持続可能な強い組織を作っていきたいですね。

関連記事:
あらゆるアイデアを評価する