勉強には金銭的価値がある。だからチームのメンバーには学問のススメ

以前、1週間でパンフレットを制作するスピードパンフレット制作サービス「ワンウィーク」のサイトで、勉強の金銭的価値についてお話させていただきました。

100時間勉強して時給が50円上がるとしたら、その勉強の金銭的価値は?

100時間勉強して時給が50円上がるとしたときの勉強時間の価値は?
100時間の勉強って1日2時間の勉強で50日もかかる勉強量です。2ヶ月の間、金曜以外休みなくひたすら毎日2時間勉強する。
これだけ勉強して時給50円上がるという想定は現実的と思ってもらえると思います。
それでは計算してみましょう。

100時間勉強して時給が50円上がるとしたときの勉強時間の価値
その人の年齢が35才だとすると、あと30年は働きますね。
とすると50円時給が上がると

50円 * 8h * 20日 * 12ヶ月 * 30年 = 288万円

生涯で288万円の収入増になります。

288万円を勉強時間100時間で割ってみると、1時間あたり2.8万円になります。30分あたりで見ると1.4万円。
 
30分の勉強の価値は1.4万円になります。
 
みなさんが思っていたより高くないですか?
これを労働に置き換えると、実際に貨幣に換金できるのは将来になりますが、時給2.8万円で働いているのと同じことです。
時給2.8万円の仕事って、かなり成功した実業家のそれですよ。

記事の依頼をされてからテーマを決め、うっすら感じていたことをこの際はっきりさせようと思って、まじめに計算しながら書き進めていくうちに想像していなかった数字が出てきてびっくりしたことを憶えています。
まさか、ほんとかよ!? と、最初は疑心暗鬼でした。
どこかに数字のマジックがないかと思って何度も計算をやり直しました。
でも何度やっても同じ結果になったので、たぶんそういうことなんでしょう。

社会人になってサラリーをもらいながら勉強するって結構体力がいると思うんです。
でも、誰にでも余白の時間はあります。
忙しい忙しいと毎日言っている人でさえ、毎日2,3時間の暇があることを知っています。

だからチームのメンバーには日頃から、時間を作って自分の価値を高めるために勉強しなさい、と言うようにしています。
いずれうちの会社を離れるときが来たときも、かならず役に立つからと。

45歳子持ちの私も、仕事と子供と遊ぶ時間の合間を探して毎日1,2時間は勉強するようにしています。

新しいことを考えることが好きな人、好きじゃない人

私は、すべての人間が新しいことを考えるのが好きなのだとずっと思ってきました。
夢があって、エキサイティング。メンバーで考えた新しいことを実践して膠着した事態をブレイクスルーした時のことを想像するだけでニヤニヤしてしまう。
それを嫌いな人なんているわけないとずっと思ってきました。

社員から新しい発想や意見が生まれてこないと悩んでいる経営者はたくさんいると思います。
生まれてこないのは経営者の責任です。
だから、経営者はすべての社員に発想や意見を生むための平等の機会を与える必要があると、そう思ってきました。

しかし、私は一つ大きな勘違いをしていたことに気づきました。

新しいことを考えることが好きじゃない人は、いる

得意不得意はありますが、ここではその問題についてではありません。
その行為をすることそれ自体に面白みを覚えない人はいる、ということです。

サッカーを見るのが面白いと思う人がいれば、面白いと思わない人がいます。
旅行が好きな人がいれば、好きじゃない人がいます。
同じように、新しいことを考えることが好きな人がいれば、ちっとも面白いと思わない人がいます。
理屈ではないのだと気づきました。

社員から新しい発想や意見が生まれてこないのは経営者の責任だと感じ、私がそういう場所を用意していないからだと思って、2つのチームを作って新事業のアイデア立案から開発、運用まですべてできるような制度を作ったことがありました。
ところが思いの外、議論が盛り上がってこない。挙句の果てに、十分なブレストもしないまま「早く決めてください」と決定を私に催促する者まで現れてきた。そここそあなた方に与えた最大の権利なんですよ、と思いながらそのとき一瞬愕然としました。。
しかし、しばし静かにこの事象を考えてみた結果、私なりの一つの結論を得るに至りました。

そこの部分を自分でやりたくない人は、いる。

とりわけ臆病なわけではない、優秀でないということでもない人が、それでも新事業を作りたがらないのは、シンプルにそれをするのが好きではないからなのだろうと。

以上の経験から、新規事業は選抜したメンバーでチームを構成するべきだ、というのが私の結論です。
すべての社員に平等に機会を与え、発想や意見を生み出すことを促進しても、やりがいを覚える人間は一握りなのです。
であれば、経営者は新しい発想や意見を生みたいと思っている社員を見出し、彼らに自由な発想とそれを生み出す環境や報酬を提供してあげることです。
そうやって、新しい発想や意見が生まれる会社にすることこそが、経営者の責任ということだと思います。

クリエイティブ部門の人事評価、賞与査定の改善のまた改善(賞与額算定式編)

2度にわたり、クリエイティブ部門の人事評価、賞与査定について実際に私がおこなっていることについて掲載しました。
そのときの記事はこちら。
クリエイティブ部門の人事評価、賞与査定の改善
クリエイティブ部門の人事評価、賞与査定について(評価式)

さて、今回はさらに改善をおこない賞与額の算定式を見直しましたので、その紹介をしたいと思います。
今回改善した結果の賞与額算定式はこちら。

賞与額=
({給与連動係数+(1-給与連動係数)*評価係数}*会社から部に出るボーナス総額(給与は含まない)*当人の月給)/月給の部全員分合計+新規アイデア評価額-5,000

給与連動係数(不変動部分をどれくらいの割合にするか):0.9(数字は半期ごとに変動あり)
評価係数:当人の評価値/全員の評価値加重平均

※ 評価係数の計算は、クリエイティブ部門の人事評価、賞与査定の改善の記事を参照。

さて、今回の改定についての主目的は

  • 持続可能な計算式にすること
  • 公平にすること
  • アイデア評価を加えること

以上の3点です。

とくに「持続可能な計算式にすること」は会社としては重要で、以前の算定式(クリエイティブ部門の人事評価、賞与査定について(評価式)を参照)では、賞与額の基準が「当人の給与〇ヵ月分」となっていたため、◯の部分には最低でも「1」が入るのだろうという暗黙のコンセンサスになりますが、実際は会社の業績いかんでは1に届かないこともあります。
賞与はあくまで賞与であり業績が良ければ出すものですので、「給与〇ヵ月分」に縛られると会社が疲弊し、持続可能な会社にするためのチャレンジやリスクテイクができなくなる危険性がありました。それを是正しました。

また、営業部門の賞与額算定式とも数式要素を合わせ、会社全体での公平性も意識したものです。
(参照:営業部門の人事評価、賞与査定についての賞与額算定式を参照)

そして最後にアイデア評価を加えて、今回の計算式に至りました。

アイデア評価については、過去にもいくつか記事を書いており、今回はその精神にのっとって再スタートした評価になります。詳しくは次回ご紹介します。
※ 過去記事:
あらゆるアイデアを評価する
人事評価におけるアイデアの金銭的価値

新規サービスの立ち上げ方について考える

10年ほど前、私の人生を大きく変えてくれた本があります。

「Little Bets」

今も私の人生の指針となっています。

実に単純明快。

「事業やサービスを立ち上げようと思ったら小さく始めなさい。そして、たくさん勝負しなさい。」

事業というのは自分の全人生をかけてやるもんだ、なんて鼻息荒く生きてきた私が、結構大きなお金をつかって始めたサービスが大コケして、途方に暮れていたときに救ってくれた本です。
以降、事業やサービスを始めるときには、常にこの本に書かれていることを指針にしています。

私の、事業やサービスを始めるときの4大指針はこちらです。

  1. 小さく始める
  2. KPIを設定し、KPI達成/未達成時の次のアクションを宣言する
  3. 自分が好きな、自分だったら利用すると思える、あるいは実際に自分が利用するサービスにする
  4. いちいちめげない

1.小さく始める

何かのサービスを立ち上げようとするとき、すべてのことが準備万端整うことなんてほとんどありません。
にもかかわらず、準備万端にしてからサービスを始めようとするタイプの人がいます。
こういうタイプの人は、いつまでたってもサービスを立ち上げることができず、ようやく立ち上げられたかと思ったらすでに他社が先行してもう追いつけないくらい差がついてしまっていた、なんてことになります。

  • 徹底的に数日間は考える。
  • 考えて、もっともレギュラーな事業スキーム(販売フロー、価格、実務)を構築する。
  • その数日間で思いつかないスキームについては、考えるのはやめて、早々にサービス立ち上げをしてしまう。
  • 想定外のシナリオが発生したら、その時困ればよろしい。なんなら想定内のシナリオだって、その時に初めて困るで良いんじゃないか。(無駄な取らぬ狸はやらない)

とにかく「始めること」が最も大切なことだと思います。

2.KPIを設定し、KPI達成/未達成時の次のアクションを宣言する

「KPI」最近ではあたりまえの経営用語になりましたが、案外自分ではやらない人を見かけたりします。
しかし、これをやらないのであれば、事業を立ち上げる権利はないと思います。
始めるまでは真剣なのに始まったら飽きてしまう人や、都合が悪くなるとこっそりフェードアウトしたりする人、ダメですよー。
事業を始める人はその事業の最後まで面倒を見る責任を持たなければいけません。
ただ、だからといって当初の予定よりも見込みが低ければ、バサリと切る覚悟も持っていなければいけない。

それの根拠が、KPIです。
「立ち上げ3ヶ月で会員登録1000人」、「立ち上げ1ヶ月で問い合わせ3件」、「立ち上げ3ヶ月で単月売上100万円」etc
期限を設定し、それまでに具体的に何を達成するかを数字で示す。
それが達成できなければ、
「サービス終了」、「広告宣伝費ゼロ」、「ヘルプスタッフゼロ」etc
をします、と宣言してサービスを始めなければなりません。

3.自分が好きな、自分だったら利用すると思える、あるいは実際に自分が利用するサービスにする

以前、海外での自動翻訳サービスの立ち上げの依頼を受けたことがあります。
「海外旅行が好きな人向けのサービス」ということだったのですが、かくいう私が海外旅行大好きなので、その私がこのサービスを使うことは絶対にない、と思って、ご依頼をお断りしたことがあります。
自分自身の思い入れや、実際に自分なら使う、というものをサービスにすべきで、そうでないものはやっても成功しないと思います。
困難に直面したときに燃えないし、ユーザー心理が想像できなかったり、シナリオが描けなかったり、ビジネスモデルに矛盾が出てきたり等々、途中でつまずく可能性が高いです。

4.いちいちめげない

失敗から学ぶ。
次に活かす。

あたりまえのことです。

 
ということで、これから新規サービス立ち上げを考えている方、もしいたらぜひ参考にしてみてください。

週一の1対1ミーティングがチームに起こす変化

私はマネージャーとしてチームのメンバーと週に一回、1対1のミーティングをおこなっています。
毎週決まった曜日決まった時刻、というのではなく、なんとなく私とそのメンバーが空いたときにサクッと声をかけて、10~20分程度おこなうような軽いものです。

なぜやっているかはこちらの記事に書いています。
クリエイティブ部門の人事評価、賞与査定について(評価式)

簡単に説明すると、マネージャーが主観でチームメンバーの人事評価をする以上、マネージャーとメンバーとの間で頻繁なメッセージの受け渡しが必要で、それをおこなうことで評価者の評価に被評価者が納得できる状態にしたいからです。
 
 
そういうわけで週一の1対1ミーティングをおこなっているわけですが、実際に半年以上続けてみてチームに目立った変化が起き始めています。

ひとつめは、チームのメンバーの変化。
会社が何を求めているのかをメンバーそれぞれが自覚してきたこと。
会社が求めていることを達成できれば即座に(月一で)評価に反映して見せるし、もっと注意して取り組まなければいけなかったことを怠ればそれも即座に評価に反映して見せることで、マネージャーからのメッセージがストレートにメンバーに伝わるようになったのです。「評価」という結論をズバリ提示するので、怒る必要もなくなる、という副産物もあります。

ふたつめは、マネージャーである私の側の変化です。
会話の中身の自由。
マネージャーにとって月一でメンバーの評価をするのは多少しんどい面があります。こまめにメンバーの仕事っぷりを見て、それの良し悪しを合理的な理由に基づき評価に落とす、という作業を常にやらなければいけないからです。しかし、そこにはしんどさを上回るメリットがありました。毎度毎度合理的な理由付けをしてミーティングでそれをメッセージとして伝えるようになってから、日常の会話には「評価」に関係するメッセージが一切必要なくなり、その結果、メンバーとの会話には「自由」が生まれたのです。
これは大きなことなのかもしれません。
 
 
チーム全体の生産性という面においてコミュニケーションがいかに大事かは誰しもが理解していることだろうと思います。
そのコミュニケーションが相互に警戒しあうことなく自由にできることは、すなわちチームの生産性向上につながると思うのです。

マネージャーはメンバーを委縮させてはいけない

数名あるいは数十名をまとめる立場をマネージャーと呼びます。
マネージャーの力量でそのチームのパフォーマンスが大きく変わります。
そのため、マネージャーには広い業務知識や高い業務遂行能力、それから統率力が求められます。
必然的に発言する場面が増え、発言する内容も重くなります。仮に自身は軽い言葉のつもりで発しても相手には重く伝わってしまうこともあるという、マネージャーとはそういう立場でもあります。
マネージャーの発する言葉は最初から一定量の「強さ」を持っています。そこにさらにマネージャー自ら「強さ」を込めてしまうと、相手を圧倒してつぶしてしまうこともあるのです。

マネージャーは会社の求める数字やパフォーマンスを達成するために普段からメンバーに多くの要求をします。
メンバーもマネージャーの要求にこたえようと頑張ります。
このヒエラルキーは確かに必要です。
しかし、度を越えた強いマネージャーはメンバーを委縮させ、思考停止に陥らせる危険があります。メンバーから自発的に考えようとするやる気を奪います。

マネージャーのみなさん、最近チームでミーティングしても議論になりにくくなってきたな、沈黙が多くなってきたなと思ったら、一度自分の発言の「強さ」を少し考えてみましょう。以前なら反応があったような内容の発言に反応がなくなってきたら要注意です。

言葉の選択で強い言葉を選びすぎていませんか?
声量が大きくなりすぎていませんか?
早口でまくし立てるようなしゃべり方になっていませんか?
相手を委縮させていませんか?

そう感じたら、明日から、少し気を抜いて、楽な気持ちで、多くを求めず、チームのメンバーと向き合ってみましょう。
2週間くらい、そのことをいつも頭の片隅に置いてチームマネジメントをしましょう。
 
マネージャーはメンバーを委縮させてはいけません。
チームのメンバーが自分自身に自信をもって、堂々とした態度で、活き活きと仕事に打ち込める場所を作ることが、マネージャーの仕事です。

クリエイティブ部門の人事評価、賞与査定の改善

以前、クリエイティブ部門の人事評価、賞与査定について(評価式)にてクリエイティブ部門の評価について書きましたが、今回はこの評価を運用していく中で出てきた課題や違和感について、およびそれらを盛り込んだ改善について書いてみます。
 
これにそのとき示した評価の項目です。再掲しておきます。
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■評価項目
会社貢献出力:会社として取り組む業務に関する出力、自分以外のメンバーへのヘルプ量
個人出力量:当人のこなした業務の絶対量
個人出力付加価値:出力がどれだけの経済的付加価値を持つか(品質、課題解決、改善、創造、売上貢献、納期)
伝達力・推進力:自身の行動や会話、文字によって、他者や会社全体に対してもたらした貢献(スピード、モチベーション、クオリティ、売上)
====

以上4項目なのですが、運用した中で感じた課題や違和感は次のようなものです。

  • 「個人出力付加価値」と「会社貢献出力」、「個人出力量」の意味合いが重なる部分があり、どの評価に入れたらいいか迷う
  • 「個人出力量」は、リモートワークを認めている関係でマネージャーが正しく公平に把握することが困難
  • 「会社貢献出力」は、実際は職種に応じて一部のメンバーにだけ求めているものであり、多くのメンバーにはそれほど求めていない
  • 個人の出力に注目しすぎたきらいがあったため、プロジェクトのチームの一員として協力してプロジェクトのゴールに向かわなければならない場面で、多少の自己犠牲要素を受け容れることを拒否し、自分には関係ないからといった理由で非協力的な行動がちらほらと見られた

そこで次の2点での評価に変更することにしました。

  • 個人成果物付加価値:出力した成果物がどれだけの経済的付加価値を持つか(品質、課題解決、改善、新規性、売上貢献、個人納期)
  • コミュニケーション:案件ごとに、当該案件担当の他メンバーと協力して、どれだけ良いものを迅速につくることに貢献できたか(情報流通、案件推進努力、意見相違の調整努力、納品期間)

360度評価なんて言葉がありますが、「コミュニケーション」評価はまさにそれにあたります。

「メンバー間でお互いに主張し、妥協点を見つけながら、協力してプロジェクトが進められ、結果、達成すべきゴールに到達できたかどうか」

マネージャーとしては結構大変ですが、情報のキャッチアップは、プロジェクト終了後、マネージャーのほうでチームのメンバーそれぞれからそれとなくヒアリングして、個々の評価に組み込んでいく方法しかありません。それをしなければ正しい評価はできませんからね。

仕事というのは、ひとりではできないのだなあとしみじみと反省しつつ、改善をおこなった話です。

上司との戦い方

仕事をしていると当然ですが人と衝突します。利害の衝突、信念の衝突、方法論の衝突、ただの感情的な衝突、・・・。

時にはその相手が上司になることもあります。
というか、戦う相手は割と上司のことが多いんじゃないでしょうか。

さて、相手が誰であろうが、勝ちたい。そうですよね?
損して得とれの場面は想定しないでください。
たとえば、これをやらなければ将来会社が良い方向に行くはずがない、と思った事に対して消極的な対応をされたときの戦い。
おひとよしでは済まない場面。その相手は上司。
 
どうやって戦いますか?力では勝てない相手に対して。

私はいつもこうします。
 
「できるだけたくさんの人間の聞こえる場所で相手と議論する」
 
自分が正しいと思っているなら、味方も多いはずです。
議論しながら味方を増やしていってください。
仮にそこで勝ち取れなくても、周りは見ています。
きっと次は味方が増えているはずです。
案を蹴った上司はバツが悪いはずです。
 
そうやって、自分の意見は堂々とたくさんの人が聞いている場所で話すことが大事だと思います。
 
昨今ではチャットで話す、なんてこともあると思います。
そのときは、わざと本来の関係者集団より一回り大きい関係者集団のグループチャットでその相手と対峙することをお奨めします。
○○課の問題なら○○課の全体チャットでやらず、○○課を統括する○○部の全体チャットでやるんです。
課長との1対1チャットで話している方、いますか?
おすすめしません。相手との権力差が大きい場合は正論も相手の土俵の中で消化されます。
うまく消化されなかったときは、何もなかったことになってしまいます。
かならず誰かがいるところで議論すべきです。

「できるだけたくさんの人間の聞こえる場所で相手と議論する」

この原理原則はどういうシチュエーションでも同じです。

営業目標数字達成率の現地点期待値を管理する

6月時点の半期目標売上達成率はどれくらいになりそうですか?
確定した分だけじゃなくて、見込みを入れて。

と、上司から聞かれたチームのマネージャーのみなさんはどのように回答されていますか?
営業管理ツールを入れている会社もあれば、いまだに紙で管理されている会社もあるでしょう。そもそも営業数字の管理自体やっていないなんて会社もあるのではないでしょうか。

答えられなければいけません。
経営サイドとしては常に半年後1年後を見据えて事業計画を立てなければならないのに、半年後どのくらいの売上が見込めるのか見当もつかないでは、チームのマネージャーとしてお話になりません。
確定数字分だけ言ったって、それじゃあ、先のことまったく見えてないんかい!ということになりますし、
かといって、営業マンひとりひとりの出した見積金額の総額を出したところで、その中のどれだけの案件が受注できるのか分からない以上、希望的観測が盛り込まれた夢の数字になるに違いありません。

そこでひとつの指標を取り入れてみましょう。

「確度」

その案件がどのくらいの確率で受注できるか?という指標。
「確度」を営業マン個人の体感でかまわないので案件ごとに登録してもらう。
そもそも体感なので細かい数字はナンセンスです。たとえば20%,50%,80%,100%の4種程度でいいのではないかと思います。

たとえばこのような感じです。

見積金額 確度 期待値
200万 50% 100万
80万 80% 64万
100万 100% 100万

要するに見積金額にその案件の確度を掛けて期待値を出し、その期待値を管理するという方法です。
上の表で言えば、
見積総額は380万円、
現時点確定は100万円です。

期待値は264万円です。

みなさんはどれで管理しますか?
私はチームの運営状況を「期待値」で管理しています。
それがもっとも確からしい。

見込みがテキトーでもダメ、慎重すぎてまったく先読みがないのもマネージャーとして“いる”意味がありません。
マネージャーなら確からしい未来の数字を常に持ち、都度ダイナミックに1カ月後3か月後の個々の営業マンのミッションを、根拠を持って指示していきたいものです。

マネジメントから見るリモートワーク、在宅勤務について

マネジメントから見ると、リモートワークや在宅勤務を認める組織は非常にコントロールしづらい組織であるといえます。
なにしろメンバーが今何をやっているのかまったく見えません。
組織のメンバーから見れば、さぼろうと思えばいくらでもさぼることができる環境なのです。

それでもリモートワークや在宅勤務を認める会社が増えていることには理由があります。

  • リモートワークや在宅勤務は多様な働き方に対応するのに便利であること。
    たとえば、子持ち、特に1歳~2歳くらいの幼児がいる、あるいは介護している親がいる、といったどうしても家にいなければならない理由がある社員にも働いてもらえるようにするのに便利です。
  • 通勤時間の無駄がなくなる。
    東京ですと電車通勤の人がほとんどだと思いますが、電車の中でそれも朝夕のラッシュ時に本や新聞、ニュースから情報を得るのはとても大変ですね。
    なくてすむならないほうがいいのが通勤時間です。
  • パフォーマンスが上がる。
    優秀であればあるほど、自由を与えられるとパフォーマンスが上がると言います。
    だから、許可制を敷く会社もありますね。その人の成績に応じて在宅勤務を〇日認める、みたいな。
    それが、もっとも正攻法だと思います。
    自己管理ができない人間を自由にすると何もしなくなるケースもあって、そのあたりのフィルターは必要でしょう。

 
それでは私がマネジメントする組織でリモートワークや在宅勤務を実際に運用して約4年、効果のほどはどうだったかといいますと。
正直、長短あります。
なんかチームなのに1+1=3になりにくい。相乗効果皆無。
なんとなくわかってやってたところはありますが、1+1=2 です。
アイデアにしろ業務効率にしろ、化学反応は起こりにくい。起こすには従業員を巻き込む「ムードメイク」をしなければならないです。
人の迷惑顧みず、明るくつねに挑戦的で、強引にでも物事を進めようとする腕力のある人物が、人数を集めてアイデアを昇華させるための“場所”を用意する必要があります。

これについては、努力が必要です。
音頭をとる人間がマネジメントじゃなくてもいいのですが、そういうムードメーカーを社内で捕まえ、マネージャーがバックアップしてそういう“場”を意図的に作り上げる努力。
1+1=3の場が自然発生的には現れ得ないのがリモートワーク集団の本質なのかもしれません。
 
と、ここまで書くと、なんだ大した成果はなかったのか?と思われるかと思いますが、それを飲み込んで余りある大きなメリットがあります。

  • 採用コストが下がる

これは今のところ私の体感として確信を持って言えます。

良きにつけ悪しきにつけ、人との接点が減るという事は人間関係における緊張状態が緩慢になるということは言えそうです。
つまり、毎日出社して席の隣にいつも誰かがいる環境と比べて何をやるにしてもコミュニケーションコストがかかる代わりに、人間関係における衝突や摩擦の絶対量が減ります。
 
人が転職をする理由の第2位か第3位が「人間関係」です。
リモートワーク、在宅勤務を認めると、定職率は相当上がります。

結論として、経営を安定的に運営するために「リモートワーク、在宅勤務」は良い制度だと思います。
 
 
さて、もう一歩思考を進めて、未来の会社の働き方というものを考えると、時と場合によって、リモートワークをやったりやらなかったりを柔軟におこなう会社というのが最終的には求められる組織像であるような気がします。
リモートワークは確かに優れた制度だと思いますが、会社がなにかブレイクスルーしようとするときには、リモートワーク一辺倒では強い組織にはなりえないでしょう。
ブレイクスルーを成し遂げる現場にはとてつもない量の会話があります。
生まれるはずのなかったサービスが会話によって生まれ、会話によって昇華し、会話によってとてつもないスピード感を生んで、いとも簡単に作り上げられたりします。