本当に組織にヒエラルキーは必要ないのか?

アメーバ型組織。
ティール組織。
などなど、本質はそうではないのかも知れませんが、なんとなく言葉だけ捉えると、上下関係を作らない組織ってこれからのトレンドだよね?感が漂う2020年正月でありますが、本当に組織にヒエラルキー(階層)は必要ないのでしょうか?

結論を最初に申し上げておくと、私はそうは思っていません。
組織の運営上、組織のヒエラルキーは必ず必要とすら思っています。

その最大にして唯一の理由は「社員のモチベーション」、ただこれ一点に尽きます。

通常、勤めていれば毎年給与は上がっていきます。
当然求められる会社への貢献もそれに比例して上がっていきます。
このシステムって未来永劫続けられるものでしょうか?
いいえ、不可能です。
単純に物理的な限界が来ます。死ぬほど働いてもこれ以上は絶対に超えられないという物理的な「量」の壁。
そのため、給与は上げてあげたいのに、求める貢献はこれ以上上げられないという限界点にいつか到達します。
それに加えて、人間がたったひとりで出力できる仕事の質と量をかけ合わせた総数(本稿ではこれを「パフォーマンス」と言うことにします)のピークは私の体感上おそらく40歳がピーク、その後は落ちていくように思われます。

以上を踏まえると、横一線の組織で権限もそれぞれの組織、個人が持ち、皆が同じ仕事や役割をするようなワークスタイルの会社では、到達する限界点は年齢が高いか勤続年数が長い社員が直面する問題になってきます。つまり、経験豊富な社員の方が直面する問題なのです。
さて、この限界点に到達した経験豊富な社員は、その後、何をモチベーションに働いていけば良いのでしょう?
長く会社に貢献し続けてくれる社員に、会社はどういう形で報いてあげれば良いのでしょうか?

一つのソリューションは
「給与は上がらない、しかし、会社があなたに求めるパフォーマンスも上がらない。」
ということになります。いわゆる現状維持というやつです。
これなら合理的ですし、会社も社員もどちらも持続可能な状態をキープすることができる。

でも、どうですか?そんな会社で勤め続けること、あなたにはできますか?

辞めますね。私がその会社の社員だったら間違いなく。

そこで必要になるのが、私はヒエラルキーだと思っています。
プレイヤーとしては卒業、その後はプレイヤーたちをまとめて、チーム全体としてさらなる生産性向上をするという部門の長としての役割。
チームに新人が混じっていても、チーム全体としては目標を達成しつづけることをコミットする役割。
いわゆる「部長」「課長」です。
責任を一手に引き受けてもらう代わりに、給料も高い。次のステップは取締役、というポジション。
 
 
私には、上下関係のないアメーバ型組織で永く運営していける会社は多くないと思えます。
今アメーバ型組織でうまくやっているように見える会社も、そのうちそのやり方では社員の定着が図れないことに気づくのではないかと思っています。
アメーバ型組織で永く運営できる会社は次の2種類のみ、すなわち
「社員全員が優秀であり、優秀でない社員を採用することは未来永劫ないと言いきれる会社」、つまり規模を狙わず少数精鋭を貫ける会社か、
「ある程度の年齢あるいは勤続年数に達したら独立(起業)を促すような、古き良き時代のリクルートのような会社」だけだと思われます。

それ以外の、ある意味一般的な、フツーの会社においては、アメーバ型組織では永く続けることは不可能だと思います。

組織にヒエラルキーは必要

自由な、上下関係のない、自分の裁量が多く与えられるような職場は、やりがいがあって自己実現にも近づくと思えますので、求人時のフックにはなると思います。
しかし、採用する会社としては採用した社員が長く自分の会社でやりがいを持って働けるように、人事制度としてのヒエラルキー(階級制度)はありきで求人をしたほうが良いと私は考えています。